【講演】QSTカレッジ(2026.01.31)

 2026年1月31日。東京レインボープライドが今月オープンさせたコミュニティスペース「クィアスペース東京(QST)」で開催された「QSTカレッジ」初回の講師を務めました。講演題は「可視化の時代を超えて?―LGBTの人権擁護についていま改めて考える―」とし、LGBTQの人々の人権擁護のために、日々の生活の中でできることを考えていただくための思考や実践の枠組みを示せるように努めました。
 昨今LGBTの人権課題と聞くと、「同性婚」や「性別承認(性同一性障害特例法)」といった立法課題に目が向く方は多いのではないかと思います。もちろんそうした法的アプローチは重要ですし、そのような課題意識をもつ人が増えたことはこの10年での大きな(素晴らしい)変化なのですが、法的アプローチだけが、人権擁護の全てでは当然ありません。
 様々なデータが明らかにしているように、LGBTQの人々は「働く」「学ぶ」「医療を受ける」そして「生きていく」といった生活の基本的な領域や行為にあたって、差別や排除を経験しがちです。そうした差別や排除の変革にあたり、性的少数者が「いる」ということを示す可視化の戦略は重要でした。しかし、可視化だけでは制度に埋め込まれ、実践において出現する差別や排除をなくすことはできません。なぜなら、可視化の戦略にはつねに「誰が可視化され/誰が可視化されないか」という線引きを伴っており、また可視的な(影響力のある)インフルエンサーに頼ることには必ず限界があり、そして最後に、現在トランスジェンダー女性の集団が過剰な「可視化」をともなう形で攻撃されている以上、素朴に「可視化」戦略だけを掲げることは危険を伴ってもいるからです。
 だからこそ、日々の生活の領域を「持ち場」ととらえ、その「持ち場」の「本義」を確認しつつ、LGBTQに対して排除的な場所になっていないかを振り返り、それぞれの生活の場所でそれを変えることのできる「小さなアクティヴィスト」が必要であることを述べました。
 当日は飛び入りの方も含めて多くの参加者があり、皆さん熱量も高かったので充実した時間を過ごすことができました。
 今回は「QSTカレッジ」の講師として関わることになった「クィアスペース東京(QST)」が、これからも当事者やアライたちが集い、知恵を持ち寄り、安心して自分たちを高めあえる場所であることを願っています。

※講演の様子がTBSラジオで紹介されました(一部、講演の音声もあります)
➤ 記事「LGBTQ+が自分らしく生きる常設コミュニティスペース『Queer Space Tokyo』
➤ Radico「まとめて!土曜日