2025年6月23日。日本オーチス・エレベータ株式会社さんのウェビナーに登壇しました。多様性に関する社内研修として、LGBTQそしてトランスジェンダーを主題に設定してくださり、オンラインでの登壇となりました。
オンラインなので個々の参加者さんの様子は分からなかったのですが、ミーティングには300名以上の参加者があり、企業としての取り組みへの本気度を感じました。
講演では、そもそも「多様性と包摂」というものがどのような意味で価値を持つのかということを、「画一性と排除」という裏側の表現から考えました。特定の性別や民族、健常性の人たちだけを画一的に前提とした組織や社会は、その画一性を満たさない人や満たせない人を排除してしまい、ときにそれは差別として現れるとともに、それが差別であることを認識するのを難しくします。LGBTQやトランスジェンダーに関しても、そうした「画一性と排除」の視点から考えてほしい、そして多様な属性や背景をもつ人々とともに、社会の各部門が平和的に社会を維持・発展できることへのコミットメントということも、D&Iには含まれているはずだという話をしました。
多様性とかD&I というと、何か浮ついた響きを感じる方もいるようですが、実際にはそれは、社会や組織における排除をやめ、やらなくてもよい差別をやめるということです。講演でも話したように、「差別をやめる」というのは何か新しいことをしなければならないというよりもむしろ、「差別という『余計なこと』をしない」ということを指すものだと私は考えいます。学校は学ぶ場所であり、大学が研究する場所であるように、企業は働く場所であり財を生み出す場所です。そうした「学ぶ」や「働く」にとって、組織や構成員が誰かを「差別する」というのは、明らかに【余計なこと】です。それは組織の目標に無関係であるばかりか、人権侵害という形で取り返しのつかない負の価値を生み出すことにもなり、しばしば組織にとっての損失とも通じています。トランスジェンダーをわざわざ憎んで差別するような人が自分の会社にいたとして、いったい誰がそんな人と一緒に働きたいでしょうか。そして、そうした差別感情や差別行為が会社の利益になるはずはありません。差別は【余計なこと】です。
オーチス・エレベータ(株)さんが、今後ますますLGBTQの社員にとって働きやすい会社となり、またすべての人が差別されない平和な社会を担う一員として、その務めを果たしてくださることを願っています。
以下は講演スライドの一部です。
