2025年6月10日。浜松市のヤマハ発動機(株)本社にて、執行役員の方々向けLGBTQ研修会に登壇しました。YAMAHA発動機さんのDEI部門よりお招きいただいたきっかけは、担当の方が昨年のTokyo Prideのプライドカンファに参加してくださっていたことで、その後連絡を頂戴し、このたびの企画に繋がりました。
今回の研修会では、飲料メーカーチェリオの代表取締役である菅さんとご一緒することになり、私がLGBTQに関する研究を行ったり、また当事者団体のアドバイザーを務めている立場から、また菅さんからは経営者という立場から、企業におけるDEIについて話をしたり、ディスカッションしたり、という時間になりました。
私が話をさせていただく時間では、「企業という社会」と「社会のなかの企業」という2つの視点を持っていただくことを中心に話をしました。企業の中には多様な従業員がすでにおり、にもかかわらず、特定の性別・性的指向・性別のあり方・人種・健常…などが前提とされていることで不必要な画一化の力学が働き、職場の安全を損なったり、場合によっては排除を生み出すメカニズムが作動しがちです(企業という社会、の視点)。
他方で企業は、公共インフラや医療制度、法制度、教育制度、あるいは家庭など、社会のなかの他のセクション(部門)が適切に機能することによって初めて、営利活動を行うことができます。そうした社会全体の適切な機能は、当然ながら秩序ある平和によって保障されている面があり、そのため、各セクション内部での公平や平等を促進すると同時に、社会全体が平和に成り立つよう、各セクションも平等と平和にコミットする姿勢が求められます。そのため、自分たちの営利活動が社会の平和に負っている面があるならば、企業もまた得たもののなかから社会全体の平和と公平に貢献しなければなりません(社会のなかの企業、という視点)。
アメリカでトランプ政権が誕生し、大学や企業のDEIの取り組みに対する政治的プレッシャーが強まっています。しかし、対立を糧に誕生した政権が、対立を煽り平和を憎むのは必然です。だからこそいま、各企業のみならず、社会の各セクションでDEIの取り組みに従事する人たちがどのような社会を目指してその活動を行うのか、内実ある方針決定と取り組みが求められていると思います。(といった話をしました)
下の画像は講演の様子を映したものです。
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