2025年9月19日。静岡大学の学生支援センター・DEI推進室に招かれて講演を行いました。講演題は「LGBTQ+の学生・教職員がいることを前提としたキャンパスづくりを考える」とし、キャンパスにおいて「前提とされない」ことによって発生する排除や差別について、概念的な理解を出発して、具体的にできることを考えました。
大学は中等教育までと違って、各授業における教員の裁量が大きく、また問題的な環境であったとしてもそれが第三者の目に届きにくい傾向にあります。また、通称名使用にあたって「親の同意」や「診断書」を要求している大学もいまだに多く、親元を離れてやっと性別を移行できるようになることがある、といったトランスジェンダーの学生のニーズや、そもそもきちんとした性別不合の診断書があれば戸籍名を変更できるので通称名を使用するニーズはない、といった実情についても、理解されないまま取り組みが進められていることがあります。
トランスジェンダーやLGBTQの学生が安全に学べる環境づくりは、端的に学びの権利を守るために必要なことですが、その点が理解されにくいことがしばしばあります。とくに教育機関に意識していただきたいのは、LGBTQの人々は、セクシュアリティやジェンダーのあり方に関連して(eg.自尊心のはく奪や周囲からの差別…)、メンタルヘルスの悪化にしばしば悩んでいるということです。そうしたなかで、学内の保健センターを頼ったところ、そこでもまた差別を受ける、アグレッションを被るといったことが、LGBTQの学生にとってはしばしば起きています。そうした事態を防ぐためにも、キャンパスには当たり前のようにLGBTQの学生がいるという「前提」が、キャンパスで支配的になってほしいと願うものです。
